仕事で三千枚以上の年賀状の整理をします。何ヶ月も掛かる大仕事ですが、作業の途中で「一体、何と読むのだろう」と、頭をひねる地名に出会うことがあります。そんな地名の読み方を調べて驚いたり、はたまたローカル線に乗っていて不思議な駅名に出会い、その地に降りたって駅名の由来や町の歴史を知って感動したりと、仕事や趣味を通じてコレクションした難読駅名やおもしろ地名は結構な数になります。書き並べてみるとホント!これがなかなかおもしろいのです。
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放出駅 (はなてんえき) |
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「関西には不思議な地名があるんやで!」と関西に住む親類の女の子に教えてもらったのが、この駅名です。はい、「はなてんえき」と読みます。何度読んでも振り仮名なしでは読めません。JR西日本に所属する通称 学研都市線の駅名だそうです。その学研都市線ですが、私、10年以上も前に一度だけ乗ったことがあります。2010年3月に閉館してしまった「わたしの仕事館」の、今は懐かしいオープン式典に参加するためでした。仕事館のあった祝園駅には学研都市線の名前のとおりに素晴らしい学術用の建物が並んでいて、圧倒されつつも日本の未来に希望を持ったことを思い出します。
それにしても、あの「しごと館」・・・・将来像を描けない若者たちのためにも、もっと身近でもっと気軽に入れる施設であってほしいと随分期待していたんですけど(残念)。
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天使突抜 (てんしつきぬけ) |
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長いこと天使杖突(てんしつえつき)と読み間違えていました。何か隠れキリシタンに関係のある地名なのかと思い込んでいました。もちろん、正しくは「てんしつきぬけ」。京都市は下京区堀川五条にある地名です。難読というよりユニークというべき地名でしょうか。
今から遡ること430年、聚楽第を構えた豊臣秀吉が京の街造りのために「五条天神」の境内を突き抜けて通りを造ったのだそうです。「五条天神」は別名「天子様」と呼ばれて街の人々に親しまれていたそうですが、「天子」では天皇を意味してしまってあまりにも畏れ多い。それで「天使様」と字を替えて呼ばれるようになり、その「天使様」を突き抜ける通りだから「天使突抜」。解ってみれば案外単純な地名の由来ですが、それにしても、400年以上も前の史実が今も地名に残されて変わらずに在るというのがすごい。さすが京都です(感服)。 |
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府中駅 (こうえき) |
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JR四国、徳島線の駅名です。徳島市国府町府中にあるので「府中駅」。しかし、江戸時代に「府中」は「不忠」に通じると嫌った徳島藩が「孝」に通じるようにと「こう」と読ませたとか。今も駅名に使われているのが驚きです(忠義の町)。 |
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学駅 (がくえき) |
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同じく徳島線にある有名駅です。学駅(がくえき)と読みます。読み方が難しいというより珍しい、ユニークというべき駅名ですね。駅の所在地が吉野川市川島町学。阿波国の学問所がこの付近にあったため「学」と呼ばれていたそうで、駅名もそのままの「学駅」、観光客の受けを狙った駅名ではありません。しかし普段は無人駅のこの「学駅」、受験シーズンになると駅員が駐在して入場券を売るのだそうで、学駅の入場券を5枚セットにして「5入学」→「御入学」の大人気。更に四国内の主要なJR駅でもこの入場券を販売しているそうですが、JR四国 なかなかやります(商売繁盛)。
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中井侍駅 (なかいさむらいえき) |
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JR 東海所属のご存じ飯田線の駅名です。おもしろい駅名ですが由来はよく解りません。駅所在地の長野県下伊那郡天竜村平岡という地名と駅名とは関係なさそうだし。というか、駅名の由来どころか、駅そのものが廃駅にならないことが不思議な気がする
秘境駅です。乗客数1日に十人未満、茶畑が広がる急斜面を縫うように走ってやっとたどり着く無人駅です。飯田線には他にも「小和田駅」「田本駅」など秘境駅ファンに知られた駅があるのですが、「田本駅」なんか、乗客数、恐らく1日零人。何しろ道が険しくってたどり着くこと自体が本当に難しい駅ですから。それでも日本人て律儀なんですね。誰も乗らない駅のホームに降りたった車掌さんはちゃんと指さし呼称して決して手を抜きません(駅員さんに感心・感動)。
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真名板 (まないた) |
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埼玉県は行田市の古代蓮を撮影しようと車を走らせていてこの地名を発見、いったい何と読むのだろうと興味がわきました。答えは何のひねりもなく見たままの「まないた」。生活感あふれる地名です。平成の大合併の折りに市町村の頭文字を取ってこの名前にしたのかと思ったらさにあらず、江戸時代にはすでに真名板村というのがあったのだそうです。読みは庶民的でも「真名板」と漢字で書くときりっとするこの地名、なるほど武士の世からの名だったのですね。因みに行田の古代蓮は一見の価値があります。7月はじめに広大な園内に濃いピンクの花を咲かせて可憐、朝露の転がる緑の葉にとまるトンボもまた、かわいいですよ(由緒あるまないた)。
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鹿手袋 (しかてぶくろ) |
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埼玉県さいたま市南区にある町名です。何となく高級感漂う地名だと感じたあなた!あなたの直感は正しい。ここは埼玉県屈指の高級住宅地である常磐や別所に隣接し、この地区も閑静な住宅地なのだそうです。地名の由来は解りませんが、珍しい地名として知られているそうです(温かそうな・・・)。
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大豆島 |
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振り仮名をふりませんでしたが、この地名、いったい何と読むでしょう。
「だいずしま?」 ブッブー!
「おおまめじま?」ブッブー!
正解はただの「まめじま」です。はい!「大」の字は読みません。
長野市東部に広がる地域の名前です。彼の地に住む小学生なら1年生でも読んでいそうなこの地名、「漢字は正し読んで正しく書きなさい」と先生から厳しく指導されていた私など、どうしても「だいず」と読みたくなってしまって納得いきません。でも、由来はやはり大豆なんですね。千曲川と犀川(さいがわ)に挟まれたこのあたり、「大豆を2升まけば2石2斗2升とれた」と言い伝えがあるほどの肥沃の地で農業が盛んだったそうです。今は宅地化が進んでいますが、それでもまだまだおいしい野菜がたくさん作られています。ところで、ここらあたりで作られるナスは丸ナスといって形が丸く実も皮も固くてしっかりしています。実がくずれないので油でいためて味噌を挟み「おやき」の具にするのにちょうどいい。おやきは夏になるとどの家でも作られる郷土料理でみんな大好き。お盆になるとご先祖さんにお供えした懐かしい食べ物です(日本語は奥が深い)。 |
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