まず、森宮野原駅を有名にしているのは駅名です。長野県側の森地区と、新潟県側の宮野原地区が一緒になっています。そう、森宮野原駅は信越国境に設けられているのです。千曲川の橋のたもとに「信越国境」と書かれた石碑が建っています.
秩父山塊、甲武信ケ岳(こぶしがたけ)に端を発する千曲川はこの橋を過ぎると信濃川と名前を変え,信濃川は大河となって海へ海へと進んでいきます。
ところでもうひとつ、この駅を有名にしたのが、日本最高の積雪量(7.85m)です。昭和20年に記録されました。駅構内にその時の高さを示す標柱が建っていますが、日本中が疲弊していたあの終戦の年に、一体どうやってこの地域の人々は冬を越したのでしょう。越後の田中角栄さんならずとも、雪国の人の苦労を思わずにはいられない標柱の高さです。
森宮野原駅からバスで1時間半ほどの信越国境に位置する山峡には、秋山郷(あきやまごう)と呼ばれる秘境があります。一説には平家の落人が住み着いたと言われていますが、その険しい地形ゆえに長く外界と隔たった生活を強いられ、独自の文化が育ったと言われています。その地が、今では栄村(秋山郷のある村)の観光の目玉となり、都会から人が訪れるというのも時の流れでしょうか。
「紅葉の季節は絶景だよ。切明(注・土地の名)では河原を掘れば温泉も出るし」という上境のタクシーの運転手さんの言葉を思い出し、「次ぎの機会は必ず秋山郷へ」と、連れと誓い合いながら十日町駅へ。2時18分森宮野原駅を出発です。
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