〜 旅に出て、ホテルのバーで 
                     S ・ S



 私はお酒が弱いこともあり,普段はほとんどバーには行かない。


 特にホテルのバーは何か特別なイベントや人に連れていって頂くなどの機会がなければ足を踏み入れない。

 一度修習時代にお世話になった先生にオークラのバーに連れていって頂いたが,社会人の仲間入りが出来たような良い思い出になっている。

 しかし海外のリゾートでは別である。妻が酒好きとあって,私も夜な夜なホテルのバーに連れられていく。

 リゾートホテルに滞在するなら是非ともバーに立ち寄るべきだ。例え酒が弱くても,カクテル一杯で素晴らしいロケーションを堪能できる。


 リゾートホテルはただでさえプロに選び抜かれた最高の場所に造られているものだが,バーは美しいロケーションとともにそのホテル自体の個性を味わうことができる。


 ハネムーンのバリ島のホテルでは海沿いで切り立った崖の上に造られたバー,ドバイでは砂漠の真ん中のベドウィン族のテントを模したバー,そして今回はタイのチェンマイの山奥にある隠れ家,フォーシーズンズホテルのバーだ。
 
 バンコクが東京だとするとチェンマイは京都に例えられる。ラーンナー王朝の名残を多く残した由緒ある古都である。バンコクに比べて時の流れはゆっくりと官能的だ。


 一日遊んだ後ホテルに戻り,ロビーの側の小さな階段を降りると仄赤いランプに照らされたバーが見える。


 オープンテラスになっているので景色がよく見えるお気に入りの場所に座る。


 目の前は一面緑のライステラス(棚田),昼間は水牛がのんびり歩き回っているが,今はくっきりとした満月と虫の声が聞こえているだけである。

 お酒を飲みながら今日一日の旅の出来事を話し合う。象の背中に乗ったこと,ナイトバザールの賑わいや,地元の人のように裸足で寺院を見て歩いたこと。

 チェンマイ名物の少し酸味のきいたソーセージやタロイモの揚げ菓子をつまみ,タイのフルーツを使ったカクテルや地酒を味わう。


 明日の朝食のメニューも今のうちに決めておきたい。どれも美味しすぎて選べないのだ。もちろんテーブル係の女性は有名なタイスマイルで食い意地の張った私たちを根気強く待っていてくれるのだが。

 ほろ酔いで良い気持ちになり,部屋のテラスでコーヒーでも飲もうとコテージに戻ると,ベッドは花で飾られジャズが低く流されている。
と き
本当に旅はいいなあと幸せを感じる 瞬間 だ。




 ワット・プラケーオという寺院で飼われていた象  ワット・プラケーオに安置されているエメラルド仏(バンコクのもののコピーであるとのこと)
 何の動物か分かりませんが、撮ってみました。  ワット・プラケーオのお堂と塔。細かな装飾が施されています。


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